今日はタイバニ2を一気見したのでその感想です。
!!ネタバレが満載です!未視聴の方は注意してください!!
TIGER & BUNNYとは
NEXTという特殊能力を持ったヒーローたちが、シュテルンビルトという街を舞台に犯罪者を懲らしめたりバディとの絆を深めたり、巨悪に立ち向かったりするアニメ作品です。
ファンからはタイバニの略称で親しまれています。
登場するヒーローが身にまとうヒーロースーツには実在する企業(BANDAI、牛角など)がスポンサーとしてロゴを刻んでおり、はじめはそのシュールさから話題になったものの、重厚なストーリーと硬派な絵柄から展開される物語は実に本格的で、大変な注目作になりました。
1期が放映されたのは2011年で、その後劇場版が2作放映されたのち、2022年には待望の2期であるTIGER & BUNNY2がNetflixにて独占配信されました。
筆者のタイバニ視聴歴
1期が放映された2011年(12年前ってマジですか?)当時は、毎週リアタイしてとても楽しく見ていました。
最速放送が見られない旅先に滞在しているときは、パソコンを持ち込んで今は亡きUstreamで配信を見たこともあります。
脚本家の方が私が好きなお笑いコンビと縁のある人だったので、その点でも楽しみな作品の一つでした。
劇場版2作は未視聴です(これから見ます!)
推しは、1期の時からユーリ・ペトロフとルナティックです。
タイバニ2を見て
とても面白かったです!
はじめは子供が寝ている隙などにちょこちょこ時間をかけて見ていこうと思っていたのに、ふたを開ければ夜更かししながら全25話をたった3日で見終わってしまいました。
1期同様の軽快なコメディ、桂正和氏の硬派なキャラデザ、バディの信頼関係、ヒーローアクション、因縁の解決など、見たかったものがおおよそ全て見られたと言って良いと思います。
劇場版は未視聴でしたが「劇場版でライアンという金髪の新キャラが登場した」という事実だけ押さえていれば、他は劇中で語られる情報だけで特に引っかかることもなく最後まですんなり見ることができました。
で、最後まで見て、とても楽しかったと共に、案の定推しであるユーリ・ペトロフにクソデカ感情を抱いてしまったのでこうやってブログを書いています。
タイバニ2は救済の物語だった
ルーキーとして新キャラが3人も追加されたタイバニ2ですが、1話から前半である1クールが終わる13話あたりまでの感想は「ルーキー3人みんな危うすぎる…」というものでした。
ここで言う「危うい」とは「いつ闇堕ちしてもおかしくない」という意味で捉えてください。
というのも、メタ視点で申し訳ないのですが、話を動かす展開上「きっと仲間キャラ12人のうち誰かが闇堕ち、つまりダークサイドに堕ちることで話が展開していくんだろうな」という穿った見方を私がしていたからです。
1クール2クール共に倒すべき敵は設定されていましたが、2011年の1期を見た経験からタイバニは「悪いやつをぶっ倒して終わり」という単純なストーリーではないということを私は知っています。
そしてルーキー組3人にはそれぞれ悩みやバディその他との確執があり、そこを丁寧に時間をかけて描いていたあたりからも、この3人の誰かが(闇堕ちして)後半のストーリーを回すキーマンになるんだろうなと思っていました。
初期のキャットは母親の言いなりで、相棒であるキッドと関係を上手く築けずにいました。
キッドとの関係がうまく行き出した後も、いざ実戦となるとNEXT能力をうまく発揮できず、プレッシャーへの弱さが浮き彫りになりました。
ブラックはやる気が空回りした結果実戦での失敗が続き、スポンサー・バディ双方から自分の望まない形である「サポーターに徹しろ」という発言を受けます。
その後も自分なりに活躍すべく必殺技を考え試してみますが、なかなか形にならず更なる失敗を重ねて周りにも迷惑ばかりかけてしまいます。
トーマスは過去の経験から重度の人間不信であり、バディであるブラックとやはり上手く行っていません。
犯人確保で不祥事を起こし謹慎処分を受けた際には、優しくしてくれたラザニアの老夫婦が実は詐欺師だったことも重なり、その人間不信っぷりはますます加速していきます。
こんな感じでルーキー3人は三者三様、今にも皆闇堕ちして物語を混乱の渦につっこませそうな程グラッグラな有様でした。
実は今作以前から続投の先輩たちに関しても、闇堕ちしそうな危うさはありました。
ファイヤースカイや折紙ロックは些細なボタンの掛け違いから生じたバディへの不信感、ライアンは裏切られるんじゃないかという恐怖、キッドはバディとの関係性、ブルーローズは失恋といった感じです。
しかしさすが先輩組、そのわだかまりは対話によって後腐れもなくあっさりと、1話完結で解決します。
私が中でも関心したのはブルーローズです。
彼女の恋心は1期のときからずっと描かれていたものだったと思うのですが、「対話をした上で納得して失恋した」「ブルーローズはもう充分大人の女性である」という2点で視聴者(私)に「こんなことでブルーローズ様は闇堕ちしないわよ」と充分な説得力を持って語りかけてきたのです。
これまであんなに時間をかけて描写してきたものをこんなにあっさりと手放し、その後の成長に話の重きを置いたのはさすがという他ありません。
また、タイガー&バーナビーに関してはここら辺の危うさは1期でやりきったと思っているので2期は終始安心して見ていられました。
さてこんな感じで先輩組に関しては闇堕ちの心配はほぼなし、となるとやはりルーキー3人の誰かが闇堕ちするんだろうなあ、と思いながら話を見進めていたのですが、その予想はあっけなく砕かれることになります。
つまり、ルーキー3人は誰も闇堕ちしなかったのです。
キャットはバディであるキッドとの関係性が改善され、最終的に母親にも自分の大切としたいものを理解してもらうことが出来ました。
彼女にとっての大きな転機はやはり、キッドからもらったお守りを開きその手紙に勇気づけられた瞬間にあるでしょう。
闇落ちチキンレースのトップをずっと爆走していたと思われていたトーマスも、ブラックの計らいで妹と再会でき、さらに妹が銃撃による後遺症をなにも負っていなかったことで過去のしがらみを綺麗に払拭することが出来ました。
その後もゆっくりではありますが確実にブラックとの絆は深まり、信頼できるバディ関係になりました。
その能天気さでうまくカバーしてはいるけれど爆発したら一気に闇落ちしそう(個人の感想です)…なブラックは、トーマスとの関係性が良くなったことで心に余裕が生まれ、最後の最後には必殺技を完成させることができました。
序盤の伏線も回収した見事なやりとりと一撃はとても見事でした。
この中の誰かが闇堕ちするんだろうなと思われていたルーキー3人が、バディという支えが合ったことで誰も闇堕ちしなかったのです。
やはりヒーローはヒーロー。
己の心の強さと信頼できる他者という存在によって、物語や市民に大きなダメージを与えることなく立ち直りました。
しかし、となると一体誰が闇堕ちして物語を展開させる役目を果たすのでしょうか。
あ…いました。
とっくの昔に闇堕ち済み・覚悟完了済みの登場人物が、ひとり。
ユーリ・ペトロフという男
ユーリ・ペトロフ、ヒーロー名をルナティックという彼は、1期から、いや時系列で言うとそのもっと前から闇堕ち済みの人物です。
彼は死刑が許されていないシュテルンビルトにおいて勝手に犯人を殺害しまくっているダークヒーローであり、1期においては明確な悪役の1人でした。
しかしその生い立ちの複雑さ悲しさから一概に悪とも言えないのかも…という気持ちにもさせてきます。
いや、悪人では絶対にあるんですが、なんかこう憎みきれないというか、物語における美味しいポジションというか…。
まあとにかく、闇堕ちレベルで言うと犯罪者は殺してでも罰するべき、ヒーローがそれをしないなら代わりに自分がダークヒーローとしてそれをやってやる!という考えを持っているので、間違いなく闇堕ち済みです。
あと個人的にですがルックス(ロン毛)と声(CV:遊佐浩二)、自己主張の強いネクタイ、ヒーロースーツの見た目(歯)などなどめっちゃ全部好きです。
推しです。
そんなユーリ・ペトロフ、1期ではヒーローマスクを取った素顔が実はヒーロー管理官兼裁判官であるということがバレてないのを良いことにめちゃくちゃ(犯罪者を)や(殺)りまくっていたと記憶しているのですが、なんと2期では一転、非常に大人しくしています。
登場するのはヒーロー管理官として真面目に(?)事務的なお仕事をするシーンばかりで、その姿には「ルナティックだったこと忘れちゃった?」と言いたくなるほど。
毎回のヒーロー出動の要請を直接出す係を担っていたり、バディシステムの必要性を見極める必要があったりと、まあたぶん普通にお仕事が忙しいしヒーローも増えて自らがダークヒーローとしてわざわざ出動する機会もないんだろうなとは思うのですが、それにしても随分と丸くなったものです。
新キャラも増えたしバディの関係性に重きを置いたストーリーなので、ソロプレイのルナティックには脚本の都合で大人しくしてもらってるのかな?
それとも1期よりもよりヒーローに近い場所にいるので、彼は彼なりに(殺人の)罪を犯していないピュアなヒーローを見て思うところがあるのかな?
などと私はいろいろ考えながら見ていました。
まあなんにせよ、苦悩していない推しは良いものだなあ。
しかしこれは嵐の前の静けさに過ぎませんでした。
穏やかに過ごしていた彼にとって最大で、最悪の転機は、母親の死でした。
物語終盤、いろいろあってヒーローがヒーローとして活動できなくなり、街には多くの犯罪者が野放しとなりました。
そんな中不運にも、強盗殺人犯がユーリ・ペトロフ不在の家に侵入し、彼の母親は強盗殺人の被害に遭ってしまうのです…。
正直、ルナティックが強盗殺人犯の前に現れてまず1人を火だるまにした時、「ヒュー―――!!きた!やっちゃえ!!!あとひっとり!!」とか大興奮しながら見ていましたが(推しなので)、やはりここが彼の2期においての踏み越えてはいけないラインだったと思います。
とっくの昔に闇堕ち済みで、数えきれない(殺人)罪をすでに重ねているとはいえ、2期に入っての彼は非常に穏やかでした。
その穏やかな姿はカオスに振り切ってしまったゲージを少しずつ少しづつニュートラルに戻そうとしているようにも見えました。
やってしまったことの大きさを考えると、穏やかに生きているくらいで悪行ゲージが0に戻るなんてことは絶対にないのですが、彼の葛藤やイマジナリー父親との苦しげな会話を見ていると、何もない静かな暮らしによって少しでも彼の魂に平穏が訪れるなら幸せだね…とファンながらに思っていたのです…。
相手がいかに凶悪犯罪者であり母親の仇でも、これまで2期の中では踏みとどまっていたルナティックが、仇の2人を火だるまにした時点でタイバニ2期における闇堕ちして話を動かすという立場は彼以外考えられないものとなりました。
ヒーローの中から出てくると思っていた闇堕ちポジションは、まさかのルナティックだったのです。
逆説的にこの事実は、ルナティックもまたグラグラの地面の上で己の弱さと戦う多くのヒーローと同じ人間だったという事実に他ならず、私は泣いてしまいます(推しなので)。
その後は1期では敵として戦ったこともあるタイガー&バーナビーとルナティックは共闘し、L.L.オードゥンを追い詰めます。
己の正義のためと彼は言いますが、この戦いの中でルナティックによる死者は一人もおらず、また遥か格上の存在とボロボロになりながら身を削って戦うその姿は、間違いなくダークではない本当のヒーローでした。
素顔を隠すマスクが殴られヒビが入ったシーンでは私は思わず「やめて!正体がバレちゃう…」と声に出してしまいました。
越えてはいけないラインを越えてしまったルナティックが、この戦いの後2期冒頭のような穏やかな生活に戻れるとは到底思えませんし、この後の展開もなんとなく想像ができてしまっていましたが、だからこそヒーロー管理官兼裁判官としてのユーリ・ペトロフの姿だけは犯されず神聖なままであって欲しかったからです。
最後の戦いによって致命傷を負ったルナティックは、自らの炎によって自身と言う大罪人を粛清して舞台を去ります。
ルナティックにも、対話によって問題を解決できるバディが、殴ってでも止めてくれるバディがいたならこのような結末にはなっていなかったかもしれません。
あと潤沢な資金で開発された企業性ヒーロースーツがあれば致命傷を負うこともなかったのかな、なんてことも考えてしまうのですが、これらすべてがなかったからこそルナティックはダークヒーローで、そんな孤高のダークヒーローの彼が私は好きなのでこれ以上ない退場の仕方だとも思っています。
ダークヒーローらしく去って行ったルナティックですが、その魂は管理官としてヒーローのそばで過ごした日々や、ヒーローたちとの共闘で救われていたと信じています。
ここまで何度も闇堕ちだの闇堕ちレベルだの書いてきましたが、この物語における闇堕ちの対極は救済であると思っています。
先輩組ヒーローもルーキー3人も、皆それぞれ困難な悩みを抱えていましたが、仲間の存在によって解決することができ救いを得ました。
ユーリ・ペトロフにはバディはいませんでしたが、タイガー&バーナビーと共闘するその姿は間違いなく仲間同士のそれであり、彼の魂と正義もその中で救済を得たものと考えています。
以上、ユーリ・ペトロフに情緒めちゃくちゃにされた女のタイバニ2感想でした。
それでは。
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