今日は日本のシンブル、加賀ゆびぬきの話です。
私が海外旅行先で探すお土産の一つにシンブルというキャップ状の手芸道具があります。
縫い物をするとき、固い布だと針の途中で布が止まってしまうことがあります。
そんなときに指の腹で針をそのまま押すと結構痛いのでこのシンブルを使います。
使い方はこのシンブルを指先にはめるか机の上に置くかなどしておいて、針のお尻がシンブルの上部のでこぼこ部分に針を固定してぐっと布を押し込みます。
元々は手芸道具だったシンブルですが現在では転じて幸運のお守りとされていることが多く、海外のお土産屋さんでよくみる定番お土産の一つとなっています。
その土地ならではの有名なものが絵柄に描かれていて眺めているだけで楽しいです。
そんなシンブルですが、日本では定番のお土産品ではありません。
キャップの形状をした海外のシンブルと異なり、日本のシンブルは形が大きく違います。
日本ではシンブルのことを指貫、ゆびぬきと言います。
こんな形の革製のリングが小学生の時の手芸箱に入っていた覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。
これが日本のゆびぬきで、指輪のように指にはめて使います。
形状の違いは日本刺繍と西洋刺繍のやり方の違いに由来するのかなと個人的には思います。
手元の小さな枠でする西洋刺繍とは違い、日本刺繍は机状の大きな刺繍枠を用いますからね。
さて、というわけで日本のゆびぬきの話です。
お土産として売られてはいない日本の指貫ですが、日本の金沢では絹糸で作るとてもきれいなゆびぬきが伝統工芸として有名です。
「加賀ゆびぬき」といいます。
私は特に加賀にルーツはないのですが本屋の手芸コーナーで一目ぼれして買った本がこちらになります。
この本には加賀ゆびぬきをつくるために必要な資材の紹介、基本の作り方、たくさんの作品の写真とそれぞれの図案が載っています。
台紙となる厚紙、バイアステープ、色とりどりの絹糸と針さえあれば始められるこの加賀ゆびぬき作りはとても楽しくて、私もゆびぬきばかり作っていた時がありました。
もっと沢山作っていたはずなのですが、とりあえず見つかったのはこちらです。
日本の伝統色をした絹糸どうしの重なり合いによって模様を作る加賀ゆびぬきは、とても繊細できれいです。
どの色を組み合わせてどの模様を作るか考えるだけでもわくわくしますし、出来上がった小さな工芸品を手のひらに乗せて眺めてみると日本を感じられてとても幸せな気持ちになります。
これは海外製ゆびぬき‐シンブルのようなキャップの形状の加賀ゆびぬきを作ってみたくて試行錯誤してみたものです。
工夫次第で指輪以外の形状でも作ることが出来ました。
ホームステイなどで海外へ行く際に現地の人に渡すお土産は頭を悩ませるものの一つですが、もしも手芸好きな方がホームステイ先にいらっしゃるのであれば加賀ゆびぬきを一つ作って持って行って「ジャパニーズシンブルです」と言って渡すと結構喜ばれるかもしれません。
それでは。
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